MUSKAのメモ帳

倉庫のようなものです。記事は消えることがあります。

高畑 勲氏の訃報に驚く どこよりも早いフランス報道

 フランス人からのTwitterで知りました。日本の報道よりも早いんじゃないかといつも思っている。谷口ジローの時もフランスの方が早かった。高畑・谷口両氏は、日本では想像できないくらいヨーロッパで広い世代に人気がある。

高畑 勲(1935年10月29日 - 2018年4月5日)さん、どうか安らかに!

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www.lepoint.fr 

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高畑さん死去をフランス大使館も追悼「フランスはとても悲しんでいます」 - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)

高畑さんの訃報に在日フランス大使館は6日、公式ツイッターにローラン・ピック駐日フランス大使の名前で「スタジオジブリ共同設立者の高畑勲氏の訃報に接し、深い悲しみを覚えています」とコメントを発表。さらに「この偉大なアーティストは、その傑作でフランスでも愛されていました。『火垂るの墓』をはじめ、数々のアニメ映画がフランス人に大きな感動を与えました。フランス文化に高い関心を持つ親仏家で2015年にフランス芸術文化勲章オフィシエを受章した高畑氏は、感嘆、敬意、友情を呼び起こす、両国友好の懸け橋でした。フランスはとても悲しんでいます」とし、哀悼の意を表した。

 東京大学文学部仏文科卒業の高畑さんは、学生時代にフランスの詩人が刊行した詩集を翻訳したり、フランス映画の字幕翻訳を手がけたりとフランスと由縁があった。 

twitter.com

 

 『火垂るの墓』はヨーロッパでは非常に人気が高い。昨年のクリスマスイブにもTV放映されたほど。イブに『火垂るの墓』を見るの?と私は大いに驚いたものだが…。

 

cenecio.hatenablog.com

 火垂るの墓(ほたるのはか)

みなさんご存じ、野坂昭如の短編小説であり、スタジオジブリのアニメ作品です。

アニメ『火垂るの墓』(1988年)はフランスやベルギーでは評価が高く、原作者の野坂昭如氏の小説作品も数タイトル翻訳されているしNosaka Akiyuki、去年ベルギー・ブリュッセルの本屋では猫についてのエッセイ『吾輩は猫が好き』もフランス語に訳されているのを見てちょっと驚きました。

(黄色矢印↓。"Nosaka aime les chats"  – EDITIONS PHILIPPE PICQUIER 2016)

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 しかも表紙装丁が野坂氏自身が描いたネコの絵で飾られていてすてきですね。

野坂氏が亡くなった時は新聞に訃報が載りました。やはりアニメ『火垂るの墓』の作者として。その成功がものを言っています。

ヨーロッパの人たちにとっては「戦争と死」のテーマの扱い方が新鮮に映ったのでしょう。救いのない悲劇的な結末も戦時としてウソがなく、よく練られた脚本と詩的な映像とが相まって魂を揺さぶる、といったレビューを読んだことがあります。また子どもと一緒に見たという映画評もベルギー人が寄せていました。ただしあの少年は「死んでいない」ことにしたそうです。

 

今回初めて、日本での公開時のポスターを見ましたが、キャッチコピーが胸に突き刺さりますね。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/a/a5/Grave_of_the_Fireflies_Japanese_poster.jpgGrave of the Fireflies - Wikipedia

 「4歳と14歳で、生きようと思った」

しかし、正直言って、私には辛すぎてアニメの二度目はないと思っています。野坂氏が亡くなった妹恵子(ご自身の妹)について語ることばを読んでからは特に、です。

(中略)ぼくはせめて、小説「火垂るの墓」にでてくる兄ほどに、妹をかわいがってやればよかったと、今になって、その無残な骨と皮の死にざまを、くやむ気持が強く、小説中の清太に、その想いを託したのだ。ぼくはあんなにやさしくはなかった。
— 野坂昭如「私の小説から 火垂るの墓」(朝日新聞 1969年2月27日号に掲載)

もうこれだけでも泣けてくる。サクマ式ドロップスなんてとてもじゃないけど見られない……

なんて思っていたら、『火垂るの墓』のスペシャル・エディション(リマスター版というのかな)が今月15日に発売されるのですって!

http://editioncollector.fr/wp-content/uploads/2017/09/Le-Tombeau-des-Lucioles-%C3%A9dition-collector-limit%C3%A9e-960x532.jpg

「小さなセツコが好きだった、あの有名な飴のデザインボックスに入っています」などと書いてある(写真は箱の表と裏)。

ブルーレイとdvd、高畑監督とのインタビューや野坂氏の自叙伝(?)などが収められているもよう。しめて39,99€。(ドロップスは入っていないようです)

Kazé : précisions sur la réédition du film Le Tombeau des Lucioles

 

 

 ルモンド紙が選ぶ高畑5作品

 

www.lemonde.fr

1.

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2.

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4.

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追記:

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http://blog.bnf.fr/lecteurs/index.php/2018/04/takahata-isao-lautre-maitre-de-lanimation-japonaise/

ジャック・プレヴェールから江戸時代の浮世絵まで…高畑に影響を与えたもの。竹取物語から

 

ツイッターから多くを学ぶ私です。

 

 

 

BBC

www.bbc.com

 

映画評論家で歴史家の故ロジャー・イーバート氏は、「戦争映画として最も偉大な作品の一つ」だと称賛した。

・・・

「アニメ映画はその最初期から、子供たちや家族のための『漫画』だった。しかし、それらの映画が存在するのは安全地帯に限られ、涙は誘っても悲しみを味わせることはなかった。『火垂るの墓』による感情体験は、アニメに対する考えを変えさせるほど力強い」と述べた。

・・・

米国の編集者で、日本のマンガ・アニメ業界を論じた「Japanamerica(ジャパナメリカ)」の著者、ローランド・ケルツ氏は、「火垂るの墓」のワンシーンについて、非常に悲劇的ながら「心が奪われるような美しさ」があると話す。

ケルツ氏は、「漁師の集団が、湾の向こうで炎に包まれた神戸の街を見つめている。空をなめるように炎が上がるなか、漁師たちの後ろ姿が映し出される」と語る。「惨劇の静けさ。誰も動かないが、彼らの衝撃が伝わってくる。まさにシェルショック状態を表したシーンで、恐ろしいと同時にものすごく美しい」

・・・

掲示板サイト「レディット」ユーザーのあるファンは、ホタルが象徴するものについて語っている。「ホタルには、主人公たちの街を焼いた焼夷(しょうい)弾と希望と忍耐力を表す二重の意味が込められていて、いつまでも心に残る映画の象徴になっている」。

・・・

「この映画は第2次世界大戦の隠喩で、2人の登場人物が死ぬというだけの映画ではない。『火垂るの墓』は、盲目的で反省のないナショナリズムや、それに従った人々の苦い結末について語っている。この映画は悲しいから傑作なのではなく、得られる教訓によって傑作になっている」

(英語記事 Grave of the Fireflies: The haunting relevance of Studio Ghibli's darkest film)

 抜粋にすぎないのでぜひ全文をどうぞ!

 

またトトロ&火垂る30周年だそうで・・・

 

 

 

近藤喜文さんインタビュー

editor.fem.jp

(*部分引用しています。記事でインタビュー全文をお読みください)

――「火垂るの墓」を見るたびに泣いてしまうという職場の仲間も多いのですが、キャラクターデザイン・作画監督をされたときのことなどをお聞かせください。

近藤:こんなことはあってはいけないと思いながら、「火垂るの墓」を描いているうちにだんだん背筋が寒くなるというか、鳥肌が立つみたいな感じがしながら描いていました。

戦争をテーマにきちんとした仕事ができたらいいなと思っていたので、「火垂るの墓」をやらせてもらって良かったと思っています。

できあがってから、高畑さんのところに、韓国の方がみえて、戦後40年もたってまだ被害者意識で映画を作っていていいんだろうかと言われました。侵略戦争の加害責任を問うようなこともやらなくちゃいけないという話は前からあって、じつは、高畑さんが「おもひでぽろぽろ」の準備をする前に、「国境」というタイトルの作品を手がけようとしていたんです。満州に行ったきり行方不明になった兄を主人公が探しにいき、解放戦線の女性と出会った主人公が、日本という国が何をしているのか疑問を持ち始めるという内容の話だったんです。その話も具体的に進み始めたんですけど、天安門事件などの影響で企画が流れたんです。いま、そういう作品も大切だと思います。

――そうですね。

近藤:最近は、日本の現代史を否定的に教えるのはよくないなどという人がいて、学校の先生なんかも影響を受けて、従軍慰安婦はいなかったみたいな話になり、非常に気になります。

広島で平和の問題を教えてる人が言っていた話ですけど、広島にいつ原爆が落ちたか知らない子どもが増えているというんですね。

火垂るの墓」を作るとき、たった40年前のことなのにわからないことがいっぱいでした。たとえば、昼間の焼夷弾というのを誰も覚えている人がいなくて、結局よくわからなかったんです。

そんなむずかしさはあると思いますが、子どもたちに戦争の事実を伝える努力をしなければ、風化する一方だと思います。ちゃんと戦争の事実を伝えていかなればいけないと思います。

 

 

メモ:

 

www.fabula.org

 

lite-ra.com

 

追記:5月18日